“内受容感覚訓練が脳回路を変化させ改善”という記事を読んで

先日、facebookに、医療NEWSの『心身症などのストレス関連疾患、内受容感覚訓練が脳回路を変化させ改善-NCNPほか』という記事がシェアされていました。

最初に、

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は5月28日、内受容感覚訓練(Interoceptive training)が前部島皮質(AIC)の脳回路変化を誘導することを明らかにしたと発表した。

『ストレス関連疾患の治療が期待できる内受容感覚訓練、効果の神経基盤は未解明』より

と、あります。

前回の記事『生きづらさと、体と心の繋がり/ボディワークの勧め』では、ベッセル・ヴァン・デア・コーク氏の著書を参考に、『脳のある部位における機能停止』という章を書いたばかりでしたから、タイミングの良さに少々驚いてしまいました。

もう少し引用させて頂くと、

これまでの研究では、内受容感覚の機能異常は多様なストレス関連疾患(不安症、身体症状症、過敏性腸症候群、摂食症、PTSDなど)に認められている。研究グループは、内受容感覚訓練による内受容感覚精度の向上が、不安や身体症状の改善と合理的な意思決定に寄与することを発見していた。しかし、内受容感覚訓練の効果の神経基盤は未解明だった。この背景を踏まえ、今回は内受容感覚訓練の前後でfMRIを用いて安静時機能的結合性(RSFC)を測定し、内受容感覚訓練が脳の脳回路に与える影響を検討した。

『ストレス関連疾患の治療が期待できる内受容感覚訓練、効果の神経基盤は未解明』より


安静時機能的結合性(RSFC)とは、脳のネットワークを評価するために用いられるものだそうですが、

内受容感覚訓練の結果、被験者の内受容感覚精度が向上し、不安レベルおよび身体症状が改善された。さらに、AICから左背外側前頭前野(DLPFC)、右上縁回(SMG)、左前部帯状皮質(ACC)、脳幹(孤束核:NTSを含む)へのRSFCが増強された。一方で、AICから視覚野へのRSFCは減少した。

『ストレス関連疾患の治療が期待できる内受容感覚訓練、効果の神経基盤は未解明』より

そうです。

国立精神・神経医療研究センターと慶應義塾大学がこのような発表をしたということは、将来、日本の病院でも、内受容感覚訓練が受けられるようになるかもしれないということでしょうか?

そうすんなりとはいかないようにも思えますが、患者の選択肢が増えることを願っています。

検索で見つけた、国立精神・神経医療研究センターと慶應義塾大学の『内受容感覚訓練が脳回路変化を誘導することを発見 〜心身症の新規治療法開発への期待〜』という報告書には、行われた内受容感覚訓練についても具体的に書かれていますが、“自らの心拍リズムを感じ取る”訓練だったそうです。

22 名の健康な成人ボランティアが参加して行われたそうですが、深刻なPTSD に長く苦しんできた方々でしたら、1週間だと、少し結果が違っていたかもしれませんね。

腹側迷走神経も交感神経の興奮を抑制することができず鼓動が極限まで高まったり、窒息しそうになったりといったトラウマ体験は、特に子供の場合、胸に大きな衝撃を与えてしまいます。

自分自身の心臓との繋がりに問題を残すこともあるのではないかと思っています。

また、訓練後の測定では、前部島皮質から視覚野へのRSFCが減少したそうですが、これは、

外部感覚(視覚)から内受容感覚への注意のシフトを反映していると考えられる。

『不安レベル・身体症状改善、各脳回路における安静時機能的結合性も変化』より

と、書かれています。

マインドフルネス・瞑想、

そして、セラピストの手に導かれ内側に意識を向けるボディワーク。

普段は外側に向けている意識を内側に向ける。

それによって、もたらされることもある。

ただただ楽になりたくて始めたことには確かに意味があった。

それが、証明される時代がきたのだと思うと嬉しいです。

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